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<アトピー性皮膚炎について>

当院はアレルギー科を標榜しておりますので、アレルギー疾患の一つであるアトピー性皮膚炎の患者さんが多数通院されています。

今回はアトピー性皮膚炎について最近の考え方を書かせていただきます。

日本アレルギー学会では本年5月「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」を発刊しました。

ガイドラインではアトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者さんの多くはアトピー素因を持つとされています。

アトピー素因っていうのは何でしょう。ご家族の中や今までの病歴に気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があるか、または血液検査で免疫グロブリンEという蛋白質を産生しやすい素因を持っていることを指します。ただし、アレルギーが必ずあるとも限らないことが診断を難しくしています。

アトピー性皮膚炎の患者さんの病変部では角層の機能障害がみられます。セラミドという物質が減少し、水分含有量の低下がみられますので、アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しています。

アトピー性皮膚炎では強いかゆみがありますが、これはかゆみに対する閾値が低下しているからだと言われています。

炎症が起こっている皮膚には様々なことが起こっています。急性期には滲出液がたくさん出ますが、慢性期には苔癬化が起こり皮膚が硬くなります。また、皮膚は感染に弱くなり、黄色ブドウ球菌などが定着しやすくなります。

アトピー性皮膚炎の診断は、①掻痒、②特徴的皮疹と分布、③慢性・反復性経過の3つを満たすものとされています。乳児期には頭、顔から出現し体幹や四肢に拡大しますが、幼小児期には頸部、肘窩、膝窩などの四肢屈曲部に特徴的な皮疹が出現するようになります。思春期・成人期には顔面を含む上半身に皮疹が強くなる傾向があります。

アトピー性皮膚炎を診察するには、お話をよく聞いて皮膚をよく観察する必要がありますので、当院では診察時間が長くなります。お待ちいただく時間も長くなるかと思いますが、よろしくお願い致します。炎症が残っている皮膚は直接触ってみるとよくわかります。一見綺麗に見えていても、触ってみるとザラツキを感じます。当院では直接皮膚を触らせて頂きます。

しっかり診察し、しっかり診断し、しっかり治療させていただきます。

次回はアトピー性皮膚炎の最近の治療について書きたいと思います。