トップ > 院長のひとりごと > <デング熱>

<デング熱>

昨年話題になったデング熱について書きます。

2014年8月より国内でデング熱に感染したことが確認された患者が報告されました。

デング熱は蚊を介して感染するウィルス感染症です。デングウィルスに感染した患者さんを蚊が吸血すると、蚊の体内でウィルスが増殖し、その蚊が他者を吸血することでウィルスが感染します(蚊媒介性)。ヒトからヒトに直接感染するような病気ではありません。また、デング熱は感染しても重症化することは稀です。感染しても発症しないことも多くみられます。

主たる媒介蚊はネッタイシマカ(日本には常在していません)です。ただし、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられるヒトスジシマカも媒介できます。

蚊に刺されてから3~7日程度で高熱のほか、頭痛、目の痛み、筋肉痛、皮疹、関節痛等の症状が見られれば、デング熱の可能性があります。

デング熱は、体内からウィルスが消失すると症状が消失します。予後は比較的良好な感染症です。しかし、希に患者の一部に出血症状を発症することがあり、その場合は適切な治療がなされないと、ごく稀に死に至ります。

特別な治療薬などはなく、主として対症療法となります。

痛みと発熱に対してのアスピリンの投与は、出血傾向の増悪やライ症候群という病気の発症の可能性があるので禁忌となりますので、安易に解熱剤や鎮痛剤は使用しないことです。血漿漏出などの症状が出現した場合は、血漿漏出による循環血液量の減少を輸液により補うことが治療の中心になりますので、点滴が必要です。

デング熱はそれほど恐ろしい病気ではないので、怖がる必要はなさそうですが、感染を避けるためには、この時期は屋外の蚊が多くいる場所で活動する場合には出来るだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊にさされないよう注意しましょう。