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<世界禁煙デー2018>

WHO(世界保健機構)とその協力組織は毎年5月31日を世界ノータバコデー(WNTD)と名付けて、タバコ使用が健康などに及ぼす悪影響を周知し、タバコ使用を減らす国際的な対策を進めることに力を注いでいます。

今年の世界ノータバコデーのテーマは「タバコと心臓病」です。このキャンペーンでは次の事実を広めることを目標にしています。

1.タバコ使用が世界最大の死亡原因である心臓病、脳卒中などの循環器疾患を引き起こすこと

2.政府と一般の人々に、タバコによる心臓病を減らす効果的な対策と活動があること

 

タバコ使用は、冠状動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、抹消循環器疾患の重要な危険因子です。

タバコが心臓病の大きな原因であり、その予防対策も解明されているのですが、一般の方々にはタバコが心臓病の主な原因であることがあまり知られていません。

心血管疾患(CVD)は世界最大の死亡原因です。心臓病による死亡の12%がタバコ使用と受動喫煙によってもたらされています。タバコ使用は高血圧(高血圧の増悪因子にもタバコが関与しています)に次いでCVDの2番目の原因となっています。

タバコは世界で毎年700万人の命を奪っています。それには受動喫煙による死亡90万人が含まれます。

 

日本では5月31日からの1週間を禁煙週間と定めています。2016年から厚生労働省では2020年東京オリンピックに向けて受動喫煙による健康への悪影響から人々を守ることを目的として「2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」というテーマで活動を始めて3年目です。

残念ながら長野県では具体的な活動は無さそうです。

 

平成28年度の厚生労働省の調査では現在習慣的に喫煙している人(喫煙率)は、男性で30.2%、女性で8.2%と発表されています。その中で、やめたくないと答えている方が男性で28.5%、女性で18.3%です。それ以外の方はやめる意志があると思われます。

家庭内で受動喫煙のある人は18.5%だそうです。喫煙されている方も家庭内ではなるべく吸わないようにしている配慮が見受けられます。

喫煙されている方は、タバコが自分や家族、子供にどのような悪影響があるかをご自身で判断し、禁煙する意思が有れば、周りの方と協力しながらやめる努力をすることをお勧めします。

 

一昨年頃からオリンピック前の飲食店の禁煙化について大分議論されていましたが、最近うわさも聞かなくなりましたね。当初飲食店は屋内全面禁煙と言われていました。しかし、結局は今年3月9日の閣議決定で客席面積100平方メートル以下の中小店舗や個人経営の既存店は標識を掲示したうえでの喫煙を認めるということになりました。規制対象外は55%にのぼり、半数以上の飲食店では今後も喫煙可能になることになってしまいました。国際的にみると、何て意味のない決定だろうと思います。日本の政治家の大好きな、骨抜きの、穴だらけの法律になってしまいました。

 

今年の春は天候不順だったせいか、咳を訴えて受診される患者さんがたくさんいらっしゃいました。その中にはタバコが誘因になっていると思われる方もいらっしゃいます。咳が続く時は禁煙のチャンスととらえ、頑張ってみませんか。